10年目のインド
今年のゴールデンウイークにインドに行く事にした。卒業旅行で一度だけ行った事のある国である。最初で最後の海外旅行だと思っていたのだが、急に、また行きたくなったのだ。
当時私は、社会に出るのが怖くて怖くて仕方が無かった。社会とか会社とかサラリーマンとか没個性とか、均一化とかそうした事が本当に怖かったのだ。元々そうした事から逃げようとして選んだ大学院受検に失敗し、私はおそるおそる社会に出ようとしていたのだ。
だから、卒業旅行にインドを選んだのは、「最初の海外旅行でみんなが行かないインドに行けたら社会に出ても大丈夫なはず」というものだった。旅行は1ヶ月の予定。4月という卒業の恐怖を前に、別の恐怖によって私は、自分を騙そうとしていたのだ。
しかし、インドは素晴らしかった。剥き出しの生と狡猾さと笑顔と、そして、自分の中にある小ささがそこにはあった。貧乏旅行と裕福な旅行を両方経験し、いろいろな人間に会い、語り、怒り、そして、笑い、私は1ヶ月を過ごしたのだった。
日本に戻り、私は会社員になった。そして、気がついた。そこにあるのは、インドと同じように、ただ生があった事に。新規電話も新鮮だった。飛び込み営業も楽しかった。人と出会う機会が増え、頭の使い方を知り、そして仕事を通じて私は自分を知った。
今年、社会に出た新卒の多くの人が、昔の私と同じように不安と期待を抱えているはずだ。ただ、過去を振り返ると私はおそらく大半の人以上に仕事はできなかった。そんな私でも今一丁前に仕事をしている。その全ては、私の周囲の人のおかげだと思える。よくぞここまで育ててくれた、と上司に感謝をしてやまない。
10年後のインド。私は、以前とは違った気持ちで飛行機に乗る。インドに立ったとき、私は何を見つけるのかが今から楽しみでしょうがない。
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