後輩のような男(25歳・坊主)
相対的にみたら、私は(女性により)男にモテる。数ヶ月に1人くらい、後輩というか、妙に私を慕ってくれる奴があらわれる。最近知り合った男(25歳・坊主頭)も結構私を慕ってくれてる1人だ。その彼が、つい最近転職をした。
調理師から不動産の営業という完全未経験の業界・職種である。彼は、仕事の帰りに私に連絡をしてきては、「今週こんな事があったんッス」とか、「やってらんないッス」なんて言いながらビールを飲む。
彼と会ったのは、ある飲み屋でだった。なんとなしに私達は本の話をした。彼は本を全然読んだ事が無いという(後から聞くと父親は大学の先生らしいのだが、どうも部屋に本が沢山あるという状況の反動から本が嫌いになったらしい)。
ただ、私はそれは勿体無いという事で、何冊かの本を薦めて無理やり読ませたのだ。すると、彼は本が面白いという事になって、私にしょっちゅう、「本を薦めてくれ」というようになり、仲良くなった。その後彼は「本って面白いッスね」としきりに言うようになった。
で、考えるところあってか、急に転職を考えて、急に転職を決めてしまったのだ。彼の言い分からすると、「新しい世界を見てみたくなった」という事らしい。(この事と私との出会いに関係は無いかもしれないが、ちょっとあるのでは?と思う事が彼との会話の中で時々ある)
だから、という事ではないのだが、私は彼の転職が成功して欲しいと心から願っている。無論仕事柄(この転職サイトの運営という仕事は、人の転職成功を願う仕事だと思っている)もあるのだが、彼の「実は、経営者になりたかった」といった呟きや「今はペーペーだけど、いつかのし上がっていきたい」というあんまり聞いた事のない素朴な野望を聞くと、「がばれよ!」って思うのだ。
彼は先週末も「営業に役立つ本を教えてくれ!」と私に連絡をしてきた。私は、彼のいままでの読書経験の少なさを気にしつつ、初歩的なマーケティングの本を「あんまり難しいと思ったら読まないでよいよ」といいながら渡したのだが、彼は「これはいいッスネ!早速読みます」と言って嬉しそうに帰っていった。
彼の今の目標は、1日10分でも本を読むという事だ。それを日々の現場で活かす事が面白くて仕様が無いという。愉しそうな苦学生のような雰囲気の彼を見ながら、「こいつ面白いな」と思いつつ、次に渡す本のことをもう考える。スポンジのように何かを吸収する(しようとしている)人に、何かを与えるのはとても愉しい。
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