共同プロジェクト、あるいは、楽しい買い物

バーゲンなので、スーツを購入しに行った。ついでにネクタイも買おうかな?とぷらぷらしていると、「何をお探しですか?」と店員さん。あまり干渉をされたくない私は、「ネクタイをちょっとね」なんてぶっきら棒に答える。

しかしその数分後、 「どうもありがとうございました!」ってお店を送りだされた私の手元には、シャツとネクタイが「2セット」。わずか数十分の間に私を変化させた彼のセールスキルには舌を巻いた。

その間のプロセスはこんなだ。店員さん「どんなスーツですか?」と聞く。私が手元にスーツを持っていたので、「もし良かったらそのスーツ見せてください」と言い「他のお店で」購入したスーツを店内で広げる。私は「へ~ここまでやるんだ」って思う。

彼は「スーツを買ったなら、それに合うシャツとタイを購入しておかないともったいないですよ」と言う。まあそうだよな、と思う私に「残りの予算はおいくらくらいですか?バーゲンって、うまく買い物すれば実にお得な機会ですよね」と。うん。そのとおりだ!って思う。

様々なネクタイとシャツを組み合わせ、いろいろ試行錯誤する彼。最終的に

「この組み合わせなんてどうすか?」と2パターンを並べる。そして、彼はそれぞれの組み合わせのメリットとデメリット(これは使いまわしがきかない、これは高い。等)を提示した。個別に見たときは全然欲しくなかったのに、気が付けば私は組み合わさったシャツとネクタイが欲しくて欲しくてしょうがなくなっていたのだ。

今から思い出すと、彼とのやりとりって、仕事上でやる「いくつかのプランから一番よいプランを選びだす作業」に似ている。いろいろなパターンを考え、その中で一番良いと思われるものを決定する作業は、とても楽しい。だから、お客さんという立場だけれど、「参加した」という感じもした。平日やっているような仕事を休日受ける。こういう立場交代も楽しいものだ。

「なんかさすがですね。随分お金を使ってしまった(笑)」という私に「まあこれで食ってますからね。」と彼は言った。プロが提供してくれる気持ちの良い買い物ってすごく楽しいものだな、と思った。