散髪とコミュニケーション能力

1ヵ月に一度毎月25日前後、私は散髪に行く。散髪、それは、私にとってコミュニケーション能力の試験場だ。「もみ上げはどのように」とか「もうすこし、切りましょうか」といった曖昧な質問、あるいは具体的ではあるが、「あと5センチくらいきりましょうか」という4センチと、6センチの違いが良く分からない質問などの集積が、私の1ヵ月の髪型を決めるのだ。取り返しはつかない。いざとなったら坊主。坊主サラリーマン。

そんな訳で、私は今まで「これだ!」という髪型で床屋のドアから出られたことがない。毎回髪を切った後、「今回は何がいけなかったのだろう」と床屋さんへの依頼の仕方を反省してみるのだが、毎度、進歩がないようだ。私は床屋に行く25日前後、自分のコミュニケーション能力不足について悩む。

ところで、私達が関わっている仕事って、ディレクション能力を常に要求される。簡単な所で言えば、コピーのお願いだって、頼みかたを間違えれば、成功しない。それが、広告表現や、データ分析などとなった時には、自分の頭の中にあるイメージを人に伝え、それを形にする難易度は飛躍的に高くなる。ディレクションをするという行為が下手な私は、今日も「打ち合わせのときにそういったじゃないですか~」と怒られ、伸びかけて妙なバランスの頭を下げた。

いつかディレクション能力を高めて、私の頭の中にある理想の髪型で、さっそうと床屋を出るのだ。ディレクション能力の無さで、他の人の迷惑になるのに比べたら、髪型がしっくりこないなんて小さな問題ではあるけれど。