怒りと状況認識能力

金曜日。久しぶりに集まった同期のメンツで飲みに行く。最初の1時間くらいは、休日前の時間をいつものように過ごしていたのだが、隣で飲んでた男(彼女連れ・二人ともかなり酔っている)が、私の同期のF氏(有能な同僚、でも切れやすい)に何か絡み出してきた。仕事を終えた楽しき金曜の夜、酔っ払った人に絡まれる悲劇。私達の和やかな雰囲気は一変し、冷え切ったものになった。

温厚かつひ弱な私。いつもなら、「F氏が切れたらどうするんだ」という心配をするのだが、何故か少し強気なその日の私。にぎわう店内に、お店の人も「これはまずい」と思ったのだろう。「こちらのお客様、少々酔われているようで、申し訳ありません」と、彼を帰してくれ、ことなきを得た。でも、私は自分の中におこった怒り(金曜の夜。不条理な難癖。失礼な態度に対する怒り)を納めることが出来ず、「なんなんだよ、ああいう奴。」などと腹立ち紛れに口ばしる。しかし、一番被害を受けていた F氏が、会話に加わらない。こういう時のF氏は危険だ。「こいつ彼を追っかけてなにかやらかすんでは?」と不安に思う私にF氏がこう言った。

「彼のこと悪く言うのよそう。彼ってあのウエイターの兄さんだろ。顔そっくりだからな。弟の店に行こうなんて彼女さそって、来てみたら俺達が、えー焼きうどん終わっちゃったの?なんて言ってる。で、かちんと来たんじゃない?あの態度には問題あるけど、いい奴かもしれんぞ。」

はっとする私。あの状況の中でそこまで考えていたとは。確かに似ている。しかも、ウエイターは彼を送っていった。確実に兄弟だ。あの状況で、ここまで洞察が出来るとは。うーん、彼のそつない仕事ぶりはこうした状況把握能力があるからなせる業なのだ。最近あまり何かを欲しがらない私だが、そんな能力だけは、いつか手にいれたいと思う。本当に。