別れ、あるいは、日常への愛情

別れとは不思議なものだと思う。

別れがあって、いままで当たり前に存在していた何かのありがたさを知る。別れというと、恋の話が多いが、それだけではない。同僚でもそうだし、社外のパートナーさんでもそうだ。

ある尊敬すべき先輩がいて、その人は、「部下が辞めることあるだろ、そういう時、いろいろ言いたいことがあるけど、一言ありがとうというようにしてるんだ」といっていた。「がんばれよ」なんて言葉より、共に過ごした時間に対して、感謝をした方が、きっとその人へのエールになると思うから、と言っていた。私もその通りだと思う。

さて、先日、数年来仕事をしてきた方が退社することになった。

私は、先輩にならって、「今まで本当にありがとうございます」って言ってみたのだけど、その言葉を言った瞬間に、3年近くにわたって、いっしょにしてきた仕事のこと(大抵がミスとかトラブルとか大変な思い出ばかりだが)が頭に浮かんでしょうがなくなった。

異動や転職にはこうしたドラマが潜んでいる。思い出してみると、桜の花を見るたびに、私はそんな淋しさを感じているように思えてしょうがない。

別れとは不思議なものだ。その別れがあって、いままで当たり前に存在していた何かのありがたさを知る。それが仕事という場面での別れであるばあい、仕事で人と出会って別れるという刹那の不思議さを、私は痛感する。

そして、別れることが淋しいって思える人が沢山いる自分の生活に私は愛情を持っているのだと思う。