人前で話をする事、あるいは、自意識について
私は人前で話すのが、苦手だ。
好きか嫌いか、と問われたら、実は大好きなのだ。人の注目を集めたり、自分の言葉に相手が一喜一憂したり、面白い事を言って爆笑してもらう事は大好きである。しかし、何故苦手かというと、そうならないから。どちらかと言うと、「どんな風にトチルのか?」といった点で注目を集めるし、何を言い出すのかと聴衆をハラハラさせるし、意味不明な言動で失笑される。だから、本当は大好きなのに、苦手で、嫌い。そんなアンビバレントなキモチ。それが私にとって人前で話をするという事だ。
私は1対1で誰かと話す事に苦手意識は全くない。相手が年上だろうと、年下だろうと、女性だろうと男性だろうと、ある程度の気持ちよさで(お互いにと私は信じている)、話をする事が出来る。そして、事実同僚の福田からは、その状況を指し、「お前は局地戦には圧倒的に強い」という評価をもらっている。ただ、それが20名くらいの人数になると全然駄目男になってしまうのだ。
先日、300名くらいの前でコメントをする事があった。私は前日から悩み、あまり眠れず、そして、当日は朝5時に目が覚めるという小心者ぶりだった。ただ、300人に何を伝えたらよいのかを徹底的に考えた。最初は、「良い事を格好良く言おう」と思っていたのだが、いろいろ考えていくと、「別に俺は格好良くないし、良い事なんていう柄じゃないな」という事に思い当たった。だから、ただシンプルに、言いたい事だけを言った。
結果。上手に話しが出来たかはわからない。しかし、私の中で、以前よりも苦手意識は少なくなった。そして、人前で話しをするのに「あんまり格好つけたり、ウケを狙ってもしょうがないんだな」という事がわかった。この感じは、小学生の時、クラスで人気者になろうとしていつも失敗していた自分に、「そういうの面倒だからやーめた」と思った瞬間に似ていた。そして、あの時感じた気持ちよさがあった。過剰な自意識をゴミ箱に棄てたような。
この間まで、私は、人前で上手に話しが出来る人になりたいと思っていた。しかし、今は、人前で語る何かを持っている人になりたいと思っている。
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