バス釣り、あるいは仕事について
「バスを釣る秘訣は、バスのいるところにバスが食いつくようにルアーを動かすことですよ」と後輩の言葉に、ふむふむとうなずく私。
というわけで、はじめてバス釣りに行った。海の近くで生まれた私にとって、釣りとはウキをたれ、浮世のことを忘れる手段であったのだが、後輩のの言葉やバス釣りに関する書物によれば、バス釣りは実にアクティブなスポーツなようだ。
はじける水しぶき。バスとの一瞬とも気を許すことの出来ない fight。跳ねるバス。体全身の筋肉を引き締め、ロッドでバスの動きを追う。それは、まさに「SPORTS」そのものだ。
さて、そんなイメージを抱きつつルアーをちょこちょこ動かしていたのだが、あたりはもちろんまったくなし。アクティブな「浮き」釣りを実践する私の中に、後輩の言葉が浮かぶ。
「バスを釣る秘訣は、バスのいるところにバスが食いつくようにルアーを動かすことですよ」
おい!そうだよ。そもそもこの湖にバスっているのか?という大人げない言葉を後輩にはけるわけはなく、私は何かに集中するように、水面を眺める。
ところで、この後輩の言葉って仕事にそのまま言えることだ。例えば、広告業界の人は、是非バス釣りをしてみてほしい。広告ターゲットがどこにいるかを探り、ターゲットの心理状況からコピーを練り出す広告の仕事は釣りに非常に近いものがある。特にインターネットの広告業界の人なんてやったら凄く面白いはずだ。リーチが足りないのかな?とかクリエイティブが甘いなんて言っている人こそ是非おすすめだ。そうでなくとも、自分がやりたい何かは本当にそこで実現することができるのか、と考えるときもこの釣りの鉄則は有効だろう。
そんな風に思いながら、もしかするとただの大きな水たまりかもしれない湖にルアーを投げ続けた。その瞬間、水の中のバスと私のルアーはどれくらいの距離があったのだろうか?いやそもそもバスはその湖にいたのだろうか?
そんな疑問を湖に残し、私達は、家路についたのだが、今でも思う。
そもそも本当に、あの湖にバスはいたのだろうか、と。
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