やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる
たまたま入った居酒屋で、素敵な風景に出会った。その日、カウンターで店内を切り盛りしていた女性二人は、その日がアルバイトの最後の日だという。お店のオープンから2年くらいずっと働いていた職場。その終わりの2時間に私は立ち会ったのだ。
彼女達にいろいろな人が挨拶に来た。近所のお店からは差し入れが来た。二人は一見の私にその差し入れの「杏仁豆腐」を勧めてくれた。「ここの杏仁豆腐とっても美味しいので是非食べてください!」と。彼女達のサービスはとても親身で暖かかった。良いお店だなと思った。終電の関係で閉店の前に私は店を出たのだが、二人が辞める事を店全体が悲しがってるようだった。
思い出した。私のアルバイト時代にも、あのようなアルバイト最後の日がいつもあった事を。アルバイト先には様々な経験が詰まっていた。ある種の派閥だってあった。人の好き嫌いがあった。誰かとシフトが一緒になったら嬉しくて、誰かとシフトが一緒になったら詰まらなかった。淡い恋もあった。私を気に入ってくれるマネージャーもいれば、私の事が大嫌いな上司もいた。
でも、そうした日々も、バイト最後の日に、在りし日の記憶となった。バイトが終わってからも友達の人もいた。しかし、もう会わない人が大半だった。学校とも地元とも違う第3の場所。それがアルバイト先だった。しかし、あの場で学んだ様々な事は今の私の中に記憶として、そして血肉として生きている。
さて。今回のコラムジョブのタイトル、「やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる」これは、昔読んだことのある三田誠広さんの小説のタイトルだ。内容はすっかり忘れてしまっているのだが、広がりのあるタイトルが胸のどこかに突き刺さったのを覚えている。青春に限らず、今私たちの日々はいつかどこかで終わりが来る。それでも、いや、だからこそ、その終わりの日に、私は笑顔でいられるよう今日をがんばろうと思う。
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