ブックカバーはいりません

私は比較的温厚だと思う。しかし、時としてその温厚さという仮面がはがれる瞬間がある。それは例えば、朝の混乱する通勤電車の中で、出口付近で車外に出ずに周囲の人の邪魔をする人を見たとき。仕事帰りに入った居酒屋で頼んだビールが全然出てこなかった時等である。

そして、書店で、「ブックカバーはいりません」と言ったのに、カバーを付け出そうとする書店員さんに出会う時がそうだ。特にこの「ブックカバー」問題は根深く、私は何度もこの問題にぶち当たっている。なお、バリエーションとしては、「袋はいりません」といったのに袋にいれる方や、それらのあわせ技も存在する。

正直、こうしたことがあまりにもあるので、私も最近は気にならなくなった。人間は慣れる動物なのだな、と思う。それに、店員さんも親切で本にカバーをつけてくれているのだ。

が、その一方で、親切さがマニュアル化され、真心が忘れられたその事実にこそ、私は意義を唱えるではないか?と思ったりもする。目の前の顧客の声を聞かずして、良いサービスができるわけがない!と。

「顧客の声を聞く」とはよく言われることだ。そして、そうした本が沢山出版され、書店で販売されている。しかし、リアルな目の前の人の声を聞くことでも難しいものなのだ。だから、『顧客の声を聞け』という類の本を購入する時ですら、ブックカバー問題は発生したりするのだ。